
【大学院入試・大学編入:学びのヒント 第5回】
「やってきたこと」が見つからない?体験不足を補い、研究テーマに出会う2つのアプローチ
教育文化経営学院です。 毎週日曜更新の連載コラム、第5回となりました。
前回のコラムでは、志望学科や研究テーマに迷ったときは、頭で考えた「やりたいこと」よりも、無意識のうちに「やってきたこと」に注目しましょう、というお話をしました。
しかし、実際に自分の過去を振り返ってみたとき、「先生、私には勉強や部活くらいしか、語れるような体験がありません……」と行き詰まってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな「体験の幅」に関するお悩みとその処方箋についてお話しします。
「勉強、部活、スマホ」に集約される18年間のリアル
最近、子どもや若者の「体験不足」が社会的な課題として叫ばれています。ここでいう体験とは、どこかへ出かけるといった直接的な経験だけでなく、読書などを通じた間接的な経験も含みます。これらが質量ともに不足しているケースは、決して珍しくありません。
とくに、ストレートで大学に入学された方の場合、これまでの人生の大部分が「受験勉強」「部活動」「インターネット(スマホ、ゲーム、動画、SNS)」の3つのいずれかに収まってしまうことがよくあります。 実はこれは、成績上位の方でも下位の方でもあまり変わりません。現代の構造的な環境として、18歳までの生活がこの3つの枠組みで完結しやすいのです。
このように過ごしてこられた方が、「さて、これまでの『やってきたこと』から大学院での研究テーマや編入後の目標を探しましょう」と言われても、すぐに見つけるのは至難の業です。
結果として、無理にひねり出した答えが「いかにテストで点数を取らせるかのわかりやすい授業づくり」「部活動の効率的な指導法」あるいは「ゲームに関するもの」といったテーマになりがちです。 しかし、これらは「大学・大学院という高等教育機関における学術的な研究テーマ」としては、なかなか受け入れられにくいのが現実です。
「やってきたこと」の幅が狭いなら、どうすればいい?
問題の根本は、能力がないことではなく、単に「やってきたこと(体験や知識)の幅が狭いこと」にあります。
ですので、当学院ではそのような学生さんに対して、無理に過去からテーマを絞り出すのではなく、「今から体験と知識を補っていく」ための2つのアプローチをお話ししています。
1. 生活の幅を広げ、解像度を上げる
一つ目は、ご自身で今すぐできるアプローチです。それは「日々の生活の幅を広げる」こと。
といっても、お金をかけて特別な場所へ旅行に行ったり、大掛かりなイベントに参加したりする必要はありません。 朝起きて、自分で洗濯機を回し、食事の支度をし、掃除をする。そうした「自分の身の回りのことを、一つひとつ丁寧に行う」ということです。
日々の生活を自分の手で丁寧に回していくと、「なぜこの仕組みはこうなっているのだろう」「もっとこうすれば生活の質が上がるのではないか」と、社会や人間に対する様々な課題や問いが見えてくるものです。身近なところから生活の質を上げ、物事の解像度を高くしていくことが、学びの大きな土台になります。
2. 対話を通して、関心の幅を広げる
二つ目は、当学院が直接サポートしているアプローチです。それは「授業を通して、関心を持てるトピックを探り当てる」ことです。
個別指導での対話を通して、私はその学生さんが少しでも関心を持ちそうな話題のボールを、幅広く、数多く投げていきます。もちろん、空振りしてしまうこともありますが、気にしません。少しでも心に引っかかりそうな知識や概念を、手を変え品を変え提示していきます。
すると、ある時ふと、学生さんの目の色が変わり「先生! 今の話題、すごく面白かったです!」と言ってくれる瞬間が訪れます。私たちはそこを見逃さず、その新しい関心を突破口にして学びをスタートさせます。
焦りから生まれる「偽りの興味」にご注意を
ここで一つ、私たちが気をつけていることがあります。 受験に焦っている学生さんの場合、本当はそこまで関心がなくても、早くテーマを決めたい一心で「それ、面白かったです! そのテーマにします!」と言ってしまうことがあります。
しかし、焦りは禁物です。本当にその方の心が動いているかどうかは、対話をしていれば大抵わかります。 ですから、上滑りした「偽りの興味」で妥協することはせず、本当に学生さんの心の奥底が動くものが見つかるまで、私たちは根気強く、色々なボールを投げ続けます。
そうして見つかった「本当に心が動いたテーマ」こそが、厳しい受験勉強を乗り越え、その後の充実した研究生活を支える強い原動力になるのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。第5回は「体験の幅を広げることの大切さ」についてお話ししました。
「自分には語れるような体験がない」と落ち込む必要はまったくありません。体験や知識が足りないのなら、これから私たちと一緒に補い、広げていけばいいだけのことです。
この連載コラムは、毎週日曜日に更新していきます。 次回も、受験生の皆さんの背中をそっと押せるようなヒントをお届けします。どうぞお楽しみに。
■ 個別相談のご案内
教育文化経営学院では、あなたの体験や知識を補いながら、本当に心が動く研究テーマを一緒に見つける学習相談を行っています。「テーマが何もない」「自分には何が向いているかわからない」という状態からで構いません。 まずは一度、お気軽にご相談にいらしてください。