
【第7回】要約の解答例と、筆者が本当に伝えたかった「学ぶ力」の3条件
皆さん、こんにちは!教育文化経営学院です。
毎週土曜日更新の「小論文Webセミナー」、第7回目となりました。 文字での解説が続いたため、実際の授業なら1回で扱う内容がここまで延びても、まだ終わりません(笑)。とはいえ、ブログならご自身のペースでじっくり読めるのが良いところです。
さて、前回出題した内田樹さんの文章(学ぶ力)の要約、皆さんは実際に**「書いて」**みましたか?
これから要約の作成例を提示しますが、これをただ読むだけでは、残念ながら少しも力はつきません。**「人は、自分で手を動かしてやったことしか身に付かない」**からです。 ご自身の書いた要約と見比べながら、ぜひ以下の作成例と解説を読んでみてくださいね。
ただ、作成例はあくまで「例」です。こういったものには、いわゆる「正解」があるわけではありません。ゆったり構えて、読んでいってくださいね。
■ 要約の作成例(289字)
「学力」とは「学ぶ力」「学ぶことができる力」で他人と比較するものではない。「学ぶ」ということに対して、どれくらい集中し、夢中になれるか、その強度や深度を評するためのものである。「学ぶ力」を伸ばす条件は、①「自分は学ばなければならない」という己の無知についての痛切な自覚、②「あ、この人が私の師だ」と直感できること、③その「師」を教える気にさせるひろびろとした開放性、の3つである。ひとことで言うと「わたしは学びたいのです、先生、どうか教えてください」である。このひとことを口にできない人は「学力がない人」であり、これを口にしようとしないことが「学力低下」という事態の本質である。(289字)
いかがでしょうか。 要約を作成する際、筆者独自の「定義づけ」の部分は非常に重要です。今回の文章であれば、学力を「学ぶ力」「学ぶことができる力」と定義している点ですね。 そして、その学ぶ力について**「どれくらい集中し、夢中になれるか、その強度や深度を評するためのもの」**と説明している部分は、要約に必ず含めたい必須のキーワードです。
今回の要約例は、後半部分が少し丁寧すぎる(冗長)ようにも思います。もし実際の試験で「250字以内」と指定されたら、最後の一文を削るなどの調整をします。
■ なぜこの文章を最初の課題に選んだのか
この文章は、以下のように「序論・本論・結論」という小論文の王道構成できれいにまとめられています。
-
序論: 筆者ならではの定義づけ(学力とは何か)
-
本論: それを伸ばすための3つの条件
-
結論: その条件が欠けていることが、今日の「学力低下」の本質である
本論の最後で筆者自身が分かりやすくまとめてくれている箇所もあるため、最初の要約課題としては非常に取り組みやすい文章です。これが、今回この課題文を選んだ1つ目の理由です。
ですが、取り上げた理由はもう一つあります。 むしろ、こちらの理由の方が強いかもしれません。
それは、これから勉強し、学力や思考力を伸ばしていかなければならない皆さん自身に、**「学ぶということに集中し、夢中になってほしい」**という私からの願いです。 筆者が挙げた「学ぶ力を伸ばす3条件」は、受験生にとっても社会人にとっても、非常に有効で本質的な条件です。
■ 最も大切なのは「ひろびろとした開放性」
3つの条件のうち、①の「無知の自覚」や②の「師の直感」は比較的理解しやすいのではないかと思います。 しかし、**③の「その師を教える気にさせる、ひろびろとした開放性」**の重要性には、案外気づかない方が多いのです。実際、要約の練習でもこの「開放性」という言葉を落としてしまう学生さんをよく見かけます。
でも、この「開放性」こそが、本当に大切なのです。
これまで当学院で多くの学生さんを指導してきて痛感するのは、**「ぐんぐん伸びる人は、例外なく広々とした開放性を持ち、他者に対してオープンな人である」**ということです。同じ話を聞いても、オープンな人とそうでない人とでは、受け止めが全く異なります。入っていくものが全然違うんですよね。
小論文のテクニックだけでなく、この「学ぶ姿勢」そのものを皆さんの頭の片隅に置いていただけたら嬉しいです。
今回はここまでです! 次回(第8回)も、毎週土曜日に更新予定です。ぜひまた当ブログへ読みに来てくださいね!