教育文化経営学院

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【小論文Webセミナー第9回】小論文は「批判」から入るな!? 課題文に込められた出題者のメッセージ

【第9回】小論文は「批判」から入るな!? 課題文に込められた出題者のメッセージ

皆さん、こんにちは!教育文化経営学院です。

毎週土曜日更新の「小論文Webセミナー」、第9回目となりました。 前回は、ただ自由に書くのではなく、課題文の「主題(一番言いたいこと)」から逃げずに感想を書くことの大切さをお伝えしました。

さて今回は、その「感想」から一歩進んで、小論文の核となる「自分の意見」の書き方について考えていきましょう。今回も引き続き、内田樹さんの「学ぶ力」を例に進めていきます。

■ 「一般常識と少し違う」から批判しやすい?

前回もお話ししたように、内田樹さんのこの文章の主題(学ぶ力の3条件、特に「開放性」)は、世間で一般的に言われていることと少し異なります。

一般常識を共有しつつも、そこから少しずらした独自の視点を提供する。だからこそ「批評」として成立し、商業出版される書籍として多くの人に読まれるわけです。誰もが知っている当たり前のことしか書かれていなければ、わざわざお金を出して本を読む人はいませんよね。

しかし、このように「一般常識と少し違うこと」が書かれていると、読み手にとっては非常に「批判」しやすくなります。 一般常識という安全な場所に立ったまま、「そんなこと言ったって、実際の入試で問うのは点数や能力の優劣でしょ?能力が低い人を評価するのはおかしい!」といった具合に、深く考えなくても簡単に反論できてしまうからです。

■ 「小論文はまず批判せよ」の罠

「そうそう、高校時代に『小論文はまず課題文を批判しなさい』と習いました!」 これをお読みの方の中にも、そう言われた経験がある方がいらっしゃるかもしれません。

確かに、「批判」のスタンスをとることは書きやすい側面があります。課題文の筆者の考えに「NO」を突きつけることで、それとは異なる「自分の考え」の輪郭を明確にしやすいからです。まず書けるようにするために、高校の先生はそうおっしゃったのかもしれません。

でも、ここで少しだけ、立ち止まって考えてみてほしいのです。

果たして、大学や大学院の先生方が、高校生や大学生レベルの知識で簡単に論破されてしまうような底浅い文章を、大切な入試問題として出題するでしょうか? 課題文型の小論文で使われるテキストは、厳しい目を通して出版された優れた書籍からの引用がほとんどです。そんな簡単に論破できるようなレベルの文章が出題されるとは、私には到底思えません。

■ 大学教員が「その課題文」を選んだ理由

そしてもう一つ、考えていただきたい重要な視点があります。 それは、「大学の先生方は、受験生に批判してほしくてその文章を出題しているのか?」ということです。

今の若い世代が本を読まなくなったことを、大学の先生方は現場で熟知しています。 しかし同時に、「入試の課題文という形であれば、学生たちはこの活字を必死に読んでくれる」ということも分かっています。

教育に情熱を持っている先生であれば、学生が滅多に読まない活字を読む機会を、わざわざ「読むに値しない、批判の的になるような文章」に費やすはずがありません。 限られた機会だからこそ、「これこそ今の君たちに読んでほしい」「これから学問を志す上で、わかってほしい、伝えたい」と心から思える、優れた原典やテキストを選ぶのではないでしょうか。

私がさまざまな大学・大学院の過去問の課題文を読み込むと、そういった出題者の先生方の熱い思いが、行間からひしひしと伝わってくるのです。

■ 優れた入試問題は、受験生を成長させる

ですから、課題文を読んで「学生である自分のレベルで理解できない」「どうも一般常識と違っておかしい、納得できない」と感じたとしたら。

安易に批判へ走るのではなく、「自分の側の理解や視野が、まだその課題文の深さに追いついていないのではないか?」と、一度疑ってみてください。

「共感できない」と感じた自分の考えをもう一度保留にし、筆者の見ている世界に寄り添って検討し直す癖をつけること。そうやってテキストと真摯に対話することで、あなた自身の思考の枠組みが外れ、ものの見方や考え方の幅がぐっと広がっていくはずです。

優れた入試問題というものは、問題を解いて向き合っている60分や90分の間にも、受験生をひと回り大きく成長させてしまいます。 そして、そういった魂の込もった出題をする大学・大学院でこそ、皆さんにぜひ学んでほしいと私は願っています。

次回(第10回)は、この「筆者の考えを受け止めた上での、自分の意見の書き方」について、さらに具体的なステップへ落とし込んでいきます。来週もぜひお楽しみに!

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