
【大学院入試・大学編入:学びのヒント 第7回】教育実習は研究テーマの宝庫。「今、ここにいるべきではない」と焦るあなたへ
教育文化経営学院です。 毎週日曜更新の連載コラム、第7回となりました。
この時期、「どうしても研究テーマが決まらない」と頭を抱えている方は少なくありません。前回までは「過去の体験」からテーマを見つける方法をお話ししてきましたが、今回は「現在の体験」、とくに教育実習の中で自分だけのテーマを掴み取った学生さんのケースをご紹介したいと思います。
実習期間中、「受験勉強ができない」と焦りや不安を感じている方にこそ、ぜひ読んでいただきたいお話です。
実技教科での苦労と、掃除の時間の「転機」
その学生さんは、中学・高校の教師を目指しており、教職大学院への進学を志望されていました。当学院にご相談に見えたのは、教育実習が終わった直後のことです。
対話を重ねていく中で、話題は自然と教育実習中のエピソードになりました。 その方は実技教科の担当だったため、「とにかく子どもたちが動いてくれないことには、授業がどうにもならない」という状況に直面し、実習の序盤は本当に苦労されたそうです。「声かけ」もいろいろと工夫されたそうですが、なかなか難しかったそうです。
しかし、ある日を境に変化が訪れます。 それは「掃除の時間」のことでした。一緒に掃除をしながらクラスの何人かの生徒と雑談をして仲良くなり、頻繁に挨拶を交わすようになりました。すると、休み時間にも生徒たちの方から話しかけてくれることが増えていったそうです。
「関係性」が授業を動かすという発見
このように生徒たちとの間に人間関係のベースができてくると、驚くべき変化が起きました。子どもたちが、授業に対して明確に「協力」してくれるようになったのです。
仲良くなった何人かの子どもたちが率先して積極的に動いてくれるようになり、それを見ることで、クラスの他の子どもたちも動いてくれるようになったと言います。
この実体験を通して、その学生さんは非常に重要なことに気がつきました。
「関係性こそが、授業を進めるうえですごく大事なんだ。だから、自分が担任として入っているクラスと、教科指導だけで入るクラスとでは、生徒の動きが全然違う。同じ指導案では絶対にしっくりこないし、うまくいくはずがないんだ」と。
これは、教育現場の真髄を突く、非常に深く、かつ実践的な洞察です。
「教科指導」から「信頼関係の構築」へ
中学や高校の教師を目指す場合、多くの学生さんが大学院での研究テーマとして「教科教育(その科目をどう教えるか)」を専攻しようとします。
しかし、その学生さんは自らの痛切な実習体験を通して、「教科の専門性だけでは立ち行かない」ということを肌で感じ取りました。そこで、教職大学院での研究テーマを、教科の指導法から「教師と生徒間の信頼関係の構築」へと大きく変更したのです。
現場での生々しい実感に裏打ちされたこのテーマと研究計画書は、面接官の心を打ち、見事に第一志望の教職大学院への合格を果たされました。
「今、ここにいるべきではない」という焦りを捨てる
教育実習は、大学院での研究テーマの「宝庫」です。 しかし現実には、大学院受験をお考えの方の多くが、教育実習の期間中に「受験勉強が進まない」と強い不安や焦りを感じています。
「こんなことをしている場合じゃない」 「今、自分はここにいるべきではない」
そんな風に、目の前の実習を「受験の障害」や「負担」のように感じてしまう方も少なくありません。けれども、今回ご紹介した学生さんのように、その教育実習での泥臭い体験そのものが、大学院合格への最大の鍵になることは多々あります。
目の前の生徒とどう向き合うか。うまく行かない授業をどう立て直すか。 そこにこそ、あなただけの「問い」が眠っています。「今、私はここにいるべき人間ではない」という焦りを捨て、目の前の実習に精一杯取り組んできてください。その真摯な姿勢の先から、確かな合格が見えてくるはずです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。第7回は「教育実習から研究テーマを見つける」というお話をしました。
実は、この「今、私はここにいるべき人間ではない(もっと別の場所で勉強しているべきだ)」という発想は、教育実習に限らず、人生の他のさまざまな場面でも陥りやすい罠です。この深いテーマについては、また今後の連載でだんだんに考えていきたいと思っています。
この連載コラムは、毎週日曜日に更新していきます。 次回も、受験生の皆さんの背中をそっと押せるようなヒントをお届けします。どうぞお楽しみに。
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